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[コメント] マイ・ブルーベリー・ナイツ(2007/仏=中国=香港)

ウォン・カーウァイの耽美的な映像には、何をしても美しいジュード・ロウは合うかもしれない。物語は相変わらず薄っぺらいけれども…。(2008.03.29.)
Keita

**ネタバレ注意**
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良くも悪くもウォン・カーウァイの映画であった。撮影がクリストファー・ドイルでないことや、広東語ではなく全編英語で撮られていることなど、過去の監督作とは異なる新しい点があるが、それでも作風をキープできているのはさすがだろう。チェン・カイコーが英語で撮った『キリング・ミー・ソフトリー』なんて本当に酷かったのだから…。

カーウァイの映像は今までどうも美しさが鼻につくと感じていたのだが、この作品ではそれが軽減されていた印象を受ける。それは舞台の違いが大きいのかもしれない。香港よりもアメリカの方が、この手の耽美映像への耐性が強いのだろう。映像において、『花様年華』などにあったような独特の味わいは出せてはいないものの、アメリカのインデペンデント映画でこういう作品があってもアリかな、と思わせるものではあった。

ノラ・ジョーンズの美しい歌声に合わせて、美しいジュード・ロウが画面の中にいて、アイスクリームがブルーベリーパイに美しく染みていく…。オープニングとエンディングにあったこのシーンが印象に残る。特に、ジュード・ロウは本当によく映える。何気ない役柄なのだが、カーウァイの映像美に負けないほど。彼の美しさは、思った以上に耽美映像に合うものだった。

しかし、物語自体はやはり薄っぺらいものだと思う。最初と最後以外顔を合わせない主人公ふたりの結びつきを物語の上できちんと表現しておらず、映像美だけで誤魔化そうとしているのだ。デヴィッド・ストラザーンのエピソードはまだしも、ナタリー・ポートマンを絡めて方向性を見失ったことはストーリーにおいて致命的だった。

(評価:★3)

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