コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 007 カジノ・ロワイヤル(2006/米=英=チェコ)

ダニエル・クレイグによるジェームス・ボンドとエヴァ・グリーンによるボンドガール。彼らが生かされ、キャラクターものとしては成功。ただ、映画としてはあまりに中だるみし過ぎている。(2006.12.17.)
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 モノクロームの冒頭(“殺人は2人目”のくだりが粋!)、オープニングムービー(少しクールさからはズレてる印象が逆に好感)、爆弾魔追跡アクション(荒唐無稽ながらもスリリング)と、映画開始直後の流れでまずはがっちり心を掴まれた。この段階で、NEWジェームズ・ボンド、ダニエル・クレイグは合格点を得ていたとも言える。

 ダニエル・クレイグにはすごく雰囲気があり、マティーニではない長い名前のカクテルを片手に振舞うその姿は紳士的。その上で、泥臭いアクションも果敢にこなしていく。すごくバランスが取れているので、“JAMES BOND WILL RETURN”というクレジットの言葉通り、ダニエル・クレイグのボンドは次回作にも期待したい。

 このシリーズで欠かせない存在であるボンドガール。これに抜擢されたエヴァ・グリーンの美貌にも頭がくらっと来た。ベルトリッチの『ドリーマーズ』に出演した際から光っていたが、今回『カジノ・ロワイヤル』では美しいドレスに身をまとい、妖艶な匂いも常に漂わせ、終盤で「待ってました」とばかりにボンドを裏切ってくれた。のちのボンドがいかにしてスパイとして成長したのか語る上では欠かせない女となるわけだ。それだけの魅力を兼ね備えていた。

他にも、カジノシーンでの駆け引きの緊迫感や、僕の大好きなヴェネツィアでのクライマックスなど、後から考えると見どころたっぷりの一休娯楽映画だったが、鑑賞途中は2時間半という上映時間による中だるみが気になって仕方なかった。

クレジットを見ると『クラッシュ』のポール・ハギスが脚本に絡んでいたりして、ドラマ寄りなストーリー展開になること自体は文句ないのだが、あまりにボンドの恋愛と成長という部分に特化しすぎではないか。あっと驚かせるような急展開がほとんどない。よく出来たストーリーではあるけれど、2時間以内でやってほしいのが本音だ。

そもそも、この映画で、ボンドが違う俳優だったら…。ボンドガールが違う女優だったら…。退屈で仕方がない映画になっていた可能性もある。

007』は誰がボンドを演じるかが注目されるキャラクター映画と言っていいので、今回はそのセレクションが見事成功したことによる合格点を多くの観客が出しているのだと思う。僕もその1人だが、次回作はもっと面白い映画ができるのではないか。その期待の余地を残しておきたい。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)ジェリー[*] カルヤ[*] プロキオン14[*] ドド[*] おーい粗茶[*] けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。