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[コメント] 二十四時間の情事(1959/仏)

悲恋劇とヒロシマの悲劇を重ね合わせた間接的反戦映画。フランス映画でヒロシマでロケを敢行し、この映画が撮られたことに意義を感じる。
Keita

**ネタバレ注意**
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 この映画に込められた意味合いは絶大なものだ。いわば第三者的存在のフランスがヒロシマ(あえてカタカナで表記します)を舞台に映画を作ったこと自体に意義がある。反戦映画であることは間違いないが、直接的に戦争反対を唱えてはいない。フランス人女優の過去の悲しい恋の記憶と原爆の被害による悲惨な記憶を重ねて表現する。"記憶"や"忘却"という言葉がテーマであり、過去の恋への忘却を語りつつ、ヒロシマの記憶の忘却についても表現している。前半のドキュメンタリー調のヒロシマの映像を除けば間接的にだが、ヒロシマで起こった惨事は決して忘れたてはならないものだと感じさせた。ラストシーンでお互いの名前をヒロシマ、ヌヴェールと呼び合うシーンが印象強い。恋愛劇を描きながらも、ヒロシマの悲劇を忘れてはならないと訴える象徴的な終わりだ。

 前半に多くあったヒロシマの原爆による被害を表したシーンの数々。外国映画であれだけしっかり映像として表現した映画は珍しいのではないだろうか?映画が始まってすぐの映像には目を見張った。ヒロシマでロケを行ったことも大きな意味があるだろう。アラン・レネや脚本のマルグリット・デュラスの姿勢を称えたい。当時、映画祭などでは政治的理由から問題になったようだが、今見るとこういう映画が撮られていたことは後世のために価値あることだ。

 余談だが、岡田英次は日本人なのでフランス語でも"ヒロシマ"と発音してるが、エマニュエル・リバはやはり"H"を発音せず、"イロシマ"と発音してましたね。本当に余談ですが・・・。

(評価:★4)

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