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[コメント] 親切なクムジャさん(2005/韓国)

ユーモアもあり、緊迫感あるシーンもあり、イ・ヨンエの貫禄と美しさもあった。しかし、パク・チャヌクの考える“復讐”はやや美しすぎのではないか。もっと痛みが必要だ。(2005.11.19.)
Keita

**ネタバレ注意**
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前作『オールドボーイ』鑑賞後にも感じたが、パク・チャヌクの考える復讐が“愛”に結びついてきれいに着地することに対して、僕は疑問を拭えなかった。

僕の思う復讐は救いなんて存在しない、もっと不条理なものだ。復讐することでなんら結論など導く出すことはできない、たとえ復讐を成し遂げても、その後ずっと背負っていかなければならない痛みが残るものだと思う。その点で、本作の子供を殺された遺族に究極の選択を迫り、苦しみながら復讐を成し遂げる様子は、復讐についての問いかけをされ、強烈な痛みを僕に感じさせてくれ、驚異的なシーンを作ったものだと思った。

しかし、問題はその後のエピローグにある。赤をイメージカラーにしたクムジャさんが、白になっていくという結末だが、僕は永遠に白になるとは思っていない。せいぜいピンクまでぐらいしか戻せない。雪のように真っ白になんてならないだろう。復讐を果たすことによる痛みはそんな簡単に消えるものではない。それぐらいの覚悟でないと、安易に復讐などできないだろう。

最後の台詞が「愛している」だった『オールド・ボーイ』、最後の台詞が「白くなって」だった『親切なクムジャさん』、どうも美しくまとまりすぎている感が否めない。復讐は、もっと濃くて汚い結末で構わない。

(評価:★3)

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