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[コメント] サマーウォーズ(2009/日)

宮崎越え(=世代交代)を期待して鑑賞したが、残念ながら庵野越えすら果たしていない。
dappene

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







長く頂点に君臨した巨人からアニメの王様という玉座を奪い取る歴史的作品との期待を込めて鑑賞したわけだが、残念ながらまだ助走期間という結論を出さざるを得ない。

面白い映画ではあるし、無用な期待を膨らませなければ★ひとつ上の評価だったかもしれない。しかし、周囲はそれを許さなかった。

冒頭のOZ紹介もよくない。これで鑑賞者の1/4を置いてきぼりにする。 アヴァターを擬人化したことで、仮想表現が肥大化し、現実との境界が鮮明になった。仮想世界での活劇が有効になる反面、現実の希薄化≒危機の大きさとそのリアルティを形骸化させている。おかげで世界の危機という最重要設定がまったく伝わらない。このへんは、監督の縛り(人を殺さないというローカルルールを設定していると思う)に由来するのかもしれない。世界の危機というからにはもう少し切迫したリスクとダメージを見せるべきで、それ抜きに社会が混乱している程度では全然怖くない。現実世界で9.11をみせつけられた我々には届かないのだ。

衛星をひとつ落として、原発周辺が壊滅的なダメージを受け、その他の衛星を一気に落とそうとしている・・・位やらないと、世界の危機という言葉に見合わない。むしろ、世界の危機などという大きな風呂敷を広げず、自分の身の回りの危機レベルにしてリアリティを伴わせた方が、みている人間にとってハラハラしたのかもしれない。

また、登場人物があまりにも多すぎる。少なくとも主要人物を減らしてそれぞれを丁寧に描き、感情移入に足るバックボーンを積み重ねるべきだと思った。やはり、物語に浸れないと、心は揺れない。

という訳で、辛らつな批評になってしまったが、これも監督への期待を込めた愛ゆえである点を添えておきます。念のため。

参考)衛星落下地点は重力圏への入射角で決定し、重力による加速後に落下軌道を大きく変更できるような出力を備えているようなものはまずないと思います。ましてや墜落数秒前に・・・

(評価:★3)

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