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[コメント] 岸和田少年愚連隊(1996/日)

程度の差こそあれ、10代なんて突き詰めればみんなこんなもんなんだろう。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 非日常的な日常とでも言ったらいいんだろうか。今作は大阪ヤンキー少年達の荒々しい日々を、ひたすらに淡々と描き続ける。『ガキ帝国』に比べれば行き詰まり感が薄く、また『ビー・バップ・ハイスクール』に比べればお祭り感が薄い。楽し気で無秩序で虚しくて荒っぽい“普通の日々”が描かれているように感じる。

 井筒和幸が描きたかったのは、正にこの「普通じゃない普通の日々の空気」だったんじゃないだろうか。

 働くことを強制されないため自由な時間を多く持ち、また法律の縛りも緩く、人生経験が浅く、何より行動力に溢れた10代。誰もが持っていたその限られた時間は、同時に「終わってみないと限られていたことが実感できない」時間でもある。だから彼ら=僕らはその時間を無駄に元気に浪費する。長い人生から見れば一瞬の「非日常的な日常」がそこに生まれる。チュンバたちにとっては「お好み焼き屋でバカ話すること」も「喧嘩相手を鉄板でぶん殴ること」も同じ「日常」なんだ。

 ヤンキーメンタリティが未だに抜け切れない井筒監督が、この日常を「普通の日常」として描きながらも、同時にどこか誇らし気に感じている様がちょっと気恥ずかしくはある。けれどまぁ、そこも含めて10代の物語ってことでいいのかも知れない。それにしても宮迫博之はこの頃から良い。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)DSCH ぽんしゅう[*]

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