[コメント] マリア・ブラウンの結婚(1979/独)
彼女の名前はマリア・ブラウン。誰よりも誰よりも、自由な女。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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彼女の揺らめく瞳が忘れられない。そしてあのしゃべり方。歌うようにゆっくりと。凄まじく不安定な感じがした。
縛りたいけれど、縛られたくない女。社長の愛人となりながらも、結婚はしない。彼の言いなりにもならない。夫を迎えるために、金をため、家を買う。彼女はきっと妻という言葉で自分を縛らなければ、自分がどこかへ行ってしまいそうだとわかっていたんじゃないかなあ。妻、という言葉はあっても、縛っているはずの夫はいないも同然で、縛られたくない彼女の性にも合ってたんでしょう。夫が自分から去っていってしまったのでは?というときにあんなに取り乱したのは彼女をこの世界に縛っていた糸が切れた、と感じてしまったからかもしれない。
そして夫が帰ってきたときの異様な眼差し。どう見ても喜んでいるように見えない。揺らめく瞳がバシッと定まった瞬間。これからずっと一緒にいなくてはならないの夫、受け取る莫大な遺産、自分で買った家。そしてこれからきつい縛りがかかっていくのか、というときの、それらすべてをぶち破るガス爆発。彼女は永遠に自由な女になったのだろうか。
誰よりも自由な女。でもその自由さに誰もついていけない、いつも孤独な女。それであんたは満足なのか、と問わずにおれない。
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