[コメント] 薔薇のスタビスキー(1974/仏=伊)
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「あの男は薔薇をいつもつけていたが、本当にそれがよく似合った。あの男はまさに薔薇のように○○だった。」っていうのはあの中の登場人物、および観客が頭の中で考えて楽しむことであって、配給会社が「薔薇の」ってわざわざ言うのはお節介というもんです。想像力を働かせる隙間が減っちゃいます。でもがんばります。
薔薇ってきれいだけど、育てるのにバカみたいに手間と水と栄養取るんだよね。それにとげとげあるから枝の手入れすんのも大変だし。しかも生の花だから結局枯れるし。スタビスキー君の栄華はそんな薔薇みたいなもんだったってことなのかな。ロシア移民(百歩譲ってもベルモンドはそう見えないが、まあいい)が一代で身を立てるにはそれこそ血のにじむような根性、努力が必要だったんだろう。それなのに、やっと築きあげた組織と取り巻きどもはすっげー金食ったくせに、簡単に裏切っちゃう。まさに薔薇そのものと言うところだけど、それを承知であの花を付けているんだとしたら、あの男はほんとバカみたいだ。バカみたいに、無邪気すぎ。むなしすぎ。自分の運命を知らずに薔薇を好んでいるんだとしたら、どっさり薔薇を送るような無邪気さ(蘭もあったけど、省略)、毎日花瓶の薔薇を(しかも自分用は必ず赤)変えさせるようなまめまめしさが余計に哀れ。自殺しちゃうのもうなずけるくらい繊細。それを神経細かい映像で見せられちゃうんで、納得。
ところで、朝起きたら薔薇がドバーなあのシーン、加藤登紀子さんの「100万本のバラ」連想しちゃった。全然関係ないけど。
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