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[コメント] ある戦慄(1967/米)

で、電車男はいないのか〜?!
CRIMSON

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 67年製作ということで当時は珍しかったのかもしれないが、今は現実に色々と起こっているので自分に置き換えて観ていたせいで、緊張感がとぎれず身につまされた。犯人のみならず各乗客の乗車前の様子を描いており、その為に彼らがどういった人物か、それでどういった反応をしめしたのかがよく分かり興味深かった。単なるパニック?映画ではなく、そういった状況での人の反応を描いているからだろう。意外とここまで描くのは珍しい気がする。

 終始二人の理不尽な嫌がらせが続くのだが、それほど嫌悪感を持たなかったのは人間の弱さが垣間見れたせいなのか、昔の映画のせいなのか。その中でも黒人が、最初は白人が脅されてていい気味だとニヤニヤしていたが、いざ自分がやられると同じ様な反応を示すところなど興味深かった。

 ラストの冷酷さは秀逸だ。意を決して二人に立ち向かう軍人に誰も加勢をしない。彼の友達さえも。そして傷ついた彼は駆け寄った友達に、お前は何をしていたんだみたいな責めを言う。その後警官が真っ先に黒人を捕えようとしたのは時代背景からか。そして他の乗客も闘った軍人に礼の一言も言わず、一様に暗い顔をして逃げるように降りていく。彼らはそこでの出来事を忘れたいのだろう。何もできなかった自分を、弱さをさらけ出された或るいは見せられてしまった自分を。最後まで起きなかった酔っ払いは幸せだったのかもしれない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] 太陽と戦慄

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