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[コメント] サイン(2002/米)

観る前に既に戦々恐々。しかし。
tkcrows

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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シネスケの評価があまりにスゴイので期待せずに観た。面白かった。ありがとうシネスケ。どんな宣伝文句よりも作品の評価を高めてくれる存在です、ここは。

宇宙からの侵略者による世界の終末を『インディペンデンス・デイ』のレベルではなく、片田舎の一家族だけの「市民レベル」の中でやってしまおうという発想は誰でも思いつくが、実際それを実行した人はなかなかいない。それは「予算がなかったのね」と邪知されるのを恐れるのか、ましてや湯水の如く金が使えるはずのハリウッドではそういう発想よりも派手さを求められるからだろう。

・・・いや、映像ではないが音の世界では確かにいた。かつてそれを実行した男が。異端児であり、それを勲章のように思っていたオーソン・ウェルズである。彼が若干23歳のときにラジオでやった、あまりにも有名な「宇宙戦争」だ。私は実際にそれを聴いた事はないし、内容の凄さは伝聞でしか判断しようがない。しかし、私がこの作品を観た後に頭に浮かんだのはこの前代未聞のラジオドラマだったのだ。家族自ら周囲の情報を断ち切り、どんどん追い込まれていく様は、まさにラジオの中の出来事だけを聞いて、不安に煽られる当時の聴取者を思い浮かばせた。

実際、この作品は地味である。しかし、音と映像で相変らず観る側の心理を不安定にさせる見せ方は巧い。追い込まれた末に家族の絆を感じさせるくだりはぐっと来るし、家の外はどうなっているんだろうと知りたくて仕方なかった。難点は配役が的確であると思う反面、メルやホアキンである必要もさほど感じさせないところと、宇宙人の全身を「見せてしまった」ことに尽きる。

シックス・センス』を頂点にこの監督の評価がどんどん下がってきているのは残念だが、ポジティブな視点で観れば、やはりなかなかの才能ですよ、この人は。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)空イグアナ[*] けにろん[*] ボイス母[*]

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