亡くなったはずの女の子達が、キャッキャッしながら魔女狩りをしているところから始まります。たしかまどかちゃんは前作で神になったんじゃ？さやかちゃんは魔女になったのでは？？話が進んでくるとさらに色々おかしい。たとえば「魔女」の事を「ナイトメア」と勝手に変わっていたり、まみちゃんの横に謎のマスコットキャラがしれっと居るし、ほむらがメガネだったりとか微妙にいろいろ違う。観てる側の整理が付かないまま、魔法少女達は前作であれだけ強敵だったナイトメアをあっという間に追い込んでいきます。

今回の魔法少女達ときたら楽しそうなんですよ。個人個人の変身ポーズまでしちゃってさ。前作のダークネスファンタジーとは全く無縁で、僕は正直こんなキラキラしたお話は受付ねぇなと思った矢先、「暁美ほむら」がこの世界はおかしいと言い出すんです。すぐさま杏子をつかまえて「この世界おかしくないか？」と言いだすと、否定的だった杏子もこの空間に疑問を持ち始め、物語は一気に面白くなります。まみちゃんのマスコットキャラのベム？だっけを拉致しボコってたら、まみちゃんにバレてしまい仲間割れのバトルになったりと物語的には最高に盛り上がるシーンです。

おかしな原因を調べるうち、ほむらが自身に疑いを持ち始め、魔法少女の命といえるソウルジェムを調べてみると、ソウルジェムがまったく反応しない。ほむらは自身が魔女になってしまった事に気づく。なんという悲しい展開だろうか。家で霊現象が突然出始め、調べると実は自分が霊だったみたいなもんか。しかし疑問も残っていて、魔女になった瞬間「神化」したまどかが迎えに来るはずなのにまどかは現れない。それはどうやら「きゅうべい」が裏でいろいろ細工をしていてるらしい。あと魔女化したほむらの結界に魔法少女達が存在するのは、きゅうべいが彼女たちの情報をほむらの決壊で作り出すことにより、ほむら自身を泳がし騙す目的でもあったそうで、なんとも難しい展開になってる。きゅうべいが補足的な言葉だけの説明なんで、1回映画を観ただけでは理解するのに正直しんどい。

ようやく「おかしい…」と思ってた世界の正体は、魔女化したほむらの生み出した結界内だったという衝撃の事実に、ほむらちゃんは完全に魔女になってしまいます。それに気づいた魔法少女達がほむらを浄化させようと必死に戦います。ほむらの魔女化なんで多分ワルプルギス級なんでしょうね。なんとかほむらをねじ伏せ、天界からまどかちゃんがやって来て「ほむらちゃんお待たせ！」と手をさしのべたら、それを返り討ちにしまどかを飲み込んでいくほむら。まどかちゃん自体をほむらの体内に吸収したほむらは、さらに概念を塗り替えてしまった。

暁美ほむらが抱くまどかへの思い。それが新編では爆発した。前作でのほむらは時間をループしまどかちゃんを助けようとしてたのは、それは紛れもない「まどか愛」からくるもので、自分の命は投げうってでも「まどかだけは絶対に助ける！」と強い信念をもって出た行動です。それは友情を超えた怨念のような感じにも取れる恐ろしいもんで、他の魔法少女などどうでもいい。極端に言えば世界などどうでもいい。まどかだけハッピーになれればそれでいい。そんな中で、まどかちゃんは自身の意志で、神化し世界自体を変えてしまった。

ほむら的にはそれは絶対に避けたかった。神化したまどかは現実の世界には存在しない事になってしまい、完全に手の届かない存在になってしまった。それが新編では爆発してしまった。目の前にまどかちゃんが、「ほむらちゃん迎えに来たよ！」と手をさしのべているこの瞬間を「まどかを自分の物にしたい！」と思うのは、今までのほむらのキャラを知ってればやりそうな行為で、大変説得力があると思う。僕の印象では、こじつけの固まりな作品なんだが、なんだかんだ物語としては破綻はしていない。さすがにツメの甘い作品には仕上げていないが、最大の理由は暁美ほむらの存在感じゃないか。まどかの為なら自己犠牲もいとわない強烈なキャラクターの像から生み出された作品だと思う。