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[コメント] ビッグ・ウェンズデー(1978/米)

《サーフィンのシーン=歌》である、ミュージカル映画。
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ミュージカル映画(少なくとも昔のは)は、文字通り歌のシーンを看板としており、そこに多くのエネルギーが費やされている。例えば何かのテレビ番組でミュージカル映画が紹介・言及されるとき、間違いなく目玉である歌のシーンが引用されていることだろう。ヴィジュアル映像としての歌を見たいという観客の要求を察知した製作者サイドは、まず歌ありきの姿勢で映画を作っていたのである。当然のことながら看板と、それ以外のストーリーのシーンとでは落差が生まれる。名作でも駄作でもまず「歌のシーン>ストーリーのシーン」であるはずだ。観客はストーリーの部分で溜め込んだストレス(のような物)を一気に歌のシーンで解放し、カタルシスを得るのだ。これがミュージカル映画の図式である。

さて、「ビッグ・ウェンズデー」はここまで述べてきたミュージカル映画の図式に完璧に当て嵌まるのだ。看板とそれ以外の明確な住み分け、そして落差。ストーリーに殆ど魅力がない。既に序盤の乱痴気騒ぎをくどくど延々と描いているのに対し「センスねーなあコリャ」と思ってしまった。全体的に、人物が薄い。一転、対照的なのが本作の看板であるサーフィンのシーン。

あまりに爽快で豪快、流麗なのでストーリーの存在すら忘れてしまったではないかっ!気持ち良さそ〜。かっこいい〜。

*ちなみに(ビッグ・ウェンズデーのコメントに書くことでもないだろうが)、観客の需要に映画が構造的に対応しているミュージカル形式が現代に残っているとすれば、それはラブシーンをフィーチュアしたB級エロ映画だろう。

(評価:★3)

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