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[コメント] 丹下左膳餘話 百萬両の壷(1935/日)

これを観てからしばらく丹下左膳の江戸っ子弁が頭にこびりついて離れません。「ぃやでぇい、ぃやでぇい」
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まさか1930年代の映画を観て何回も笑わせてもらうとは思わなかった。笑いというものは、基本的にその時代その時代の空気に対応するものだから、いつの時代でも通じる普遍的な笑いというのはなかなか存在しえないと思う。(例えば、今の若者にたけしのオールナイトニッポンややすきよの漫才を聴かせても、そこまで面白いと言うとは思えないし、テレビの企画でB21スペシャルやとんねるずの昔のネタを生で今の時代に見ても、まったくおもしろく感じられない。)

しかし、本作は省略によって帰結を突然見せるという映画的なテクニックを使用することによって、今の時代でも通じるスピーディーな歯切れの良い笑いを作り出している。独特の緊張感を強いられる映画館の中で、笑いを産み出すのはとても難しい。そのなかで唐突な不意打ちを食らわせ笑わせてくれる本作は、能や狂言の精神を踏まえた秀作である。(★3.5)

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)トシ ゑぎ けにろん[*]

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