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[コメント] 気狂いピエロ(1965/仏)

「失われた日々」を求めて。(レビューはラストに言及)
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







改めて観ると、コメディ的要素(ミュージカル部分もそう?)が結構ちりばめられていたことに気がついたが、あくまで基本路線は、昔の恋人に自分の「失われた日々」を見出し、実際には存在しなかったのではないかと思われる「荒ぶる日々」を「取り戻そう」と悪あがきする男の話であると思う。そんな男の後悔、その後悔が見せる束の間の美が胸をうつ。最後に男は自分でつけたはずのダイナマイトを消そうとする、「くそっ、こんなやり方があるか」、それでもダイナマイトは容赦なく爆発する、人生もいつだってそんなものかもしれない、だとしたらそこに「永遠」を見出すしかないのではないか。自分にとってはもっとも印象に残る、映画のラストである。

これ以上何かを言うと、ゴダールについての様々な論議の中に入っていかなければならないという意味で蛇足だが、大した予備知識も無しに気づいたのは、通常の映画でいうところのエモーショナルな部分が敢えて省略され、その部分の帰結だけがカットの変わり目で唐突に示されていくことである。(これがいわゆる反ハリウッド的なところなんだろうなと、愚直に感じる。)そのような手法を使っているにもかかわらず、本作が非常にエモーショナルであったことに私はたいへん魅力を感じる。ベトナムへの意識などは今観ると、非常に疑問符であったりはするのだが。

*ほんとーーにどうでもいいことだが、ジャン・ポール・ベルモンドは現在、横浜で活躍中のボイ・ロドリゲス外野手に似ていて、彼を見るたびに笑いを禁じえない。

(評価:★4)

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