コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] S.F.W.(1994/米)

強烈なパンチが求められるメディア風刺映画としてはやや繁雑としている嫌いもあるが、寓話化し過ぎないリアル感は好印象。一見ヌルい空気漂うオチにも痛烈なものがある。トビー・マグワイア一世一代のアホティーン出演は結構お宝。
HW

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







てっきりあの銃撃で2人が死ぬのかと思ったが、違った。さすがに殺人ともなると、カリスマ交代劇がすんなり行かないってのもあるのだろうが、祭り上げられた2人を生かしたまま終わらせる展開に意表を突かれた。プロポーズで幕を閉じるラストにはラブロマンス的な空気もあるのだけれど、マスメディアに使い捨てられ、既に過去の人とされつつある2人が言わば「電撃結婚」・・・というのはやはりマスメディアと無縁の結末ではないのだろう。

考えてみれば、解放後の2人が直接言葉を交わすのは随分と後の事で、2人の間にロマンスが築かれたのは完全にマスメディアの上であった。2人は互いにTVで相手が自分を気にかけている事を知る。1人がTV画面を通して相手に呼びかけ、もう1人がその画面を前に思いに耽る、あるいは、涙する。あの一見美しくさえ見える姿こそがまさに低俗陳腐なマスメディア社会の1コマなのだ。

「事件を共に乗り越えた男女が愛を深める」というお決まりの美談に至る2人はお決まり通りの幸福でなければいけないはずだが、何処か虚しく見えた。狂った状況から帰って来れたのはもっと狂った世界。メッセージは深い。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。