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[コメント] 13デイズ(2000/米)

不思議と、一ショットも登場しないフルシチョフ(及びその側近達)も同じだけの苦悩と喜びとを味わったのだと感じられる。そういう意味でも出来は非常に良い。見応えもある。ただ、やはりアメリカの伝統的政治姿勢にはどうしても共感出来ないんだよなぁ。
HW

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







こんな事を言うと絶対怒られるだろうけど、個人的にはキューバ危機自体、アメリカ側の騒ぎすぎが原因という印象が強い。世界中の国々(ソ連も含めて)の喉元にそれぞれ対立国の核ミサイルが配置されている情勢の中、「アメリカの喉元にソ連のミサイルなど持ち込ません!たとえ戦争になろうとも、それだけは許さん!」と言い張るアメリカの基本姿勢は傲慢としか思えない。作品中トルコのミサイル基地の話が出てくるが、そういうNATO諸国の核ミサイル基地とモスクワとの距離と、キューバ・ワシントン間の距離ってそれほど違わない気がしませんか?少なくともミサイルの到達時間からすれば、その差は分単位にも満たないのでは?まぁ、国土の広さからソ連の方が基地が生き残り易いとか色々条件に差はあるかもしれないけど・・・。いずれにしても、「アメリカ優位絶対維持」「譲歩しない強いアメリカ」という色合いは実際あったのだと思う。公約を破りキューバに核を持ち込んだソ連の行為は確かに悪いけど、アメリカだって「非核国」日本に核を持ち込んでいる(米第7艦隊のお偉いさんのコメントでは確か「日本に寄港する際にわざわざ核武装を外して来るという事はない」みたいな曖昧な感じだ!)わけだし・・・その他色々考えてみると、アメリカがそこまで非難出来た立場でも無いように思える。

じゃあ、ケネディ兄弟達を悪く言いたいのかというとそうではないし、この映画にも結構感動はしたんだけど、結局、全面核戦争という恐怖を避けたと同時に、アメリカの「俺だけ一歩優位」みたいな発想もしっかり温存される事になったのかと思うと、どうも複雑な気持ちになるんですよ。最後のロバート・ケネディとソ連大使の駆け引き(シーン自体は好きだけど)にしても譲歩の姿勢を公には見せない事を原則とするアメリカの大人気無い態度にはどこか疑問が残る。誰が悪いとかいう単純な問題では無いのだが・・・。

何だか褒めてるのか貶しているのか不明確な乱文を長々と失礼致しました。率直には面白く、見応えある映画だと思います。全体的に、国家という肥大した組織のやるせない実状みたいなモノもひしひし伝わってきて、特に偵察機パイロットとの電話シーンは非常に印象的でした。内容だけに当然賛否はあるだろうし、評価の難しい映画だが、決して駄作では無いと思える。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ゆーこ and One thing[*] sawa:38[*] けにろん[*] kazby[*]

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