[コメント] スケアクロウ(1973/米)
カラスを笑わせるだけでは「かかし」にはなれない。
雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な体を持ち…決して怒らず…
宮沢賢治じゃないが、カカシというのはそういうものだ。
苦境や孤独に耐え、それらを乗り越えるだけのタフな身体と精神を持ったカカシ。
だがそこまで完璧な道化を演じることの出来る人間は果たして何人いるだろうか。ある者は感情的になり暴力を振るい、ある者は傷つき心を病む。
あらゆる場面で他人との競争を促される人間社会の中で、カカシに徹するということは自らの魂をすり減らすのと同義である。だから人は皆許される範囲で感情的に生きる。自分はカカシにはなれない事を無意識のうちに自覚しているからだ。
カカシを演じようとする余り「悲しいピエロ」となってしまったライオン。そんな彼を見ていると「人間の脆さ」を感じずにはいられない。
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