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[コメント] 刑事ジョン・ブック 目撃者(1985/米)

ガキの頃に観てイイハナシダナーと思っていたが、再見してそうでもねえなと寝返った。
ペンクロフ

アーミッシュという共同体の印象が今では全然違うのだ。はじめて観た時はわたくしも10代でアーミッシュなんて知らなかったから、ホエーンこんな人達がいるんだホエーン、とただ感心してたんだよな。今は違う。中世のまま生きる小さな社会は、道徳観も中世のままだと知っている。要するにM・ナイト・シャマラン先生の『ヴィレッジ』ですわ。美しい自然と素朴な農業だけ見れば魅力的でも、そこは少年少女が望まぬ結婚を強いられる世界だ。コンドームもピルもない、性的虐待が山盛りの世界だ。ハアーテレビもねえ。ラジオもねえ。車もそれほど走ってねえ。彼らを見て「アーミッシュは文明人が失った何かを持っている」とかなんとか「素晴らしき世界旅行」みたいなことを言ってる場合ではないのだ。ハッキリ言って狂信者集団である。

アーミッシュを好奇の目で見る失敬な観光客がいたが、あれが我々の姿なんだ。間違ってもハリソン・フォードではない。でも映画の語り口はすっかりハリソン・フォード視点なもんだから、わたくしこと刑事ジョンブックはまんまと後家さんとねんごろな感じになる。これこそエロゲーの構造ですわ。都会の汚れた現代人の目線で、度を越して「純粋」「素朴」「清らか」な女性に聖性を見出して「聖女」に仕立てて祭りあげる感じ。イヤわたくしも決して嫌いではないし全然気持ちよくヌケますが、別段いい話ではないと思うのだ。

拳銃を後家さんに預けるくだりや、カーラジオから流れるポップスに乗っかって彼女の心を開く場面なんか、原始人に知恵の実を食わせ、罪なきイブを文明でレイプしてるようにも見えてちょっと悪魔じみた映画だなと思った。おかしな見立てかもしれないが、オレにはそう見えたんだ。

少年が警察署の中をうろついて写真を指し示す場面と、納屋を建てる場面は実に素晴らしい。アーミッシュのイケメンがハリソン・フォードに「大工仕事できるか」と尋ねるくだりは笑った。こいつもともと大工や。

(評価:★3)

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