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[コメント] マトリックス(1999/米)

警官や市民のみなさんも「気づいていない」以上は敵であると言いきったこの映画は素晴らしく反社会的だ。そうだ、こんな世の中間違ってる。ブッ壊せ!
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「マトリックス」はバカ映画である。「マトリックス」はカンフー映画である。「マトリックス」はSF映画である。「マトリックス」はオタク映画である。「マトリックス」は妄想映画である。「マトリックス」はパクリだらけだ。

これらは、まったくもって正しい。しかしそれでもなお、間違いなく「マトリックス」は作家の映画だ。これは、絶対に「製品」ではない。

この映画が撃つのは、我々が生きているこの世界だ。「お前はこの世界がおかしいとは思わないのか?」 そう、確かにこの世の中はおかしい。

一例を挙げるなら金だ。あんなもんを多く持っているか否かで、人生が変わってしまう。経済というルールを作り、その構造に全員がグルになって乗っかることで成立する社会、つまりこれ八百長である。それでも現金に体を張れているうちはまだいいが、きょうびは電子マネーの時代だ。モニター上の数字の上下が人の値打ちを決める、いったいこんな世界のどこが現実なんだ。「カネで人の値打ちは決まらない」、いやあなたそうおっしゃいますけど、カネがないから死ぬ人は存在するし、カネがないから国民を殺されちゃう国も実在します。カネがあればゴルゴ13だって雇える。人の命を、フィクションが左右しているのである。それが、今オレたちが生きている世界だ。それはモーフィアスが案内した「不思議の国」マトリックスと、一体どこが違うのだろうか。

こんな世の中おかしい。それを正すには、どうすればいいんだろう。とりあえず警官でもブッ殺すか。よし、そうしよう! バンバンバーン。簡単に言えば、『マトリックス』はそういう映画だ。世のお巡りさんからすればたまったもんじゃない。これは、ひどい映画なんです。本当に、本当にひどい映画なんです。デートで見に行くような映画じゃないんですよ。実によくできた「製品」の皮をかぶってはいるが、実はこれは危険な危険な作家の映画だ。「作家」の皮をかぶった製品があふれている時代が続く以上、カミソリのようなこの映画の切れ味が鈍ることはあるまい。なぜなら正しいか否かに関係なく、こいつら(監督兄弟)は本気だからだ。

(評価:★5)

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