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[コメント] めまい(1958/米)

世間的には名作か知らんが、オレが夢中になったヒッチコックはこうじゃなかった。興味の軸足を間違えているとしか思えない。
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ヒッチコックは「殺されそう!」とか「濡れ衣だ!」とか「アイツ絶対犯人だ!」とか「鳥が!鳥が!」とか、誰がどう考えても恋愛の100倍は重要かつ深刻な問題を全力で描くべきであり、それらの隙間にチラリと描かれるからこそ、隠し味としての愛だのギャグだのが際立って印象に残るのではなかったか。『裏窓』のジェームズ・スチュアートの視線は窓の外に向いているからいいのであって、美人だからってグレース・ケリーばっかり見ていたら映画になんかなりゃしません。そして原則的に映画の興味が窓の外にあるからこそ、窓の内側にいるグレース・ケリーは美しいのだ。だからオレは『めまい』においてウジウジしているジェームズ・スチュアートに延々とつき合わされるのは実に苦痛だった。彼がひどい目にあってもホレた弱みの自業自得にしか見えず、それは男なら甘んじて引き受けとけと思ってしまうのです。『めまい』は否応なしに事件に巻き込まれ、気づいたときには退路を断たれているような絶体絶命っぷりには程遠い映画だ。しかしそれでは、特に演技がうまいわけでもないジェームズ・スチュアートの人間的魅力は見えてこないように思えるのです。

(評価:★2)

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