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[コメント] 復讐するは我にあり(1979/日)

骨太な力作なれど、今平の「オレは人間というものの本質を知っている。お前は人間を判ってない」という態度は本当に嫌いだ。たとえ、その通りだとしてもだ。
ペンクロフ

10代ではじめて観たときは、この映画の生臭さ、緒形の邪悪さ、三国の卑怯さ、女どものオンナオンナした鬱陶しさに膨大な嫌悪を催し、最後まで観るのが本当に辛かった。四十郎になって観てみると、あれこれ細部も面白く、興味深く最後まで観られた。これは何故かというと、オレが目の肥えた成熟した大人に成長したから、では「ない」と思うのだ。むしろ逆だ。感性が摩耗し、全てに鈍感になり、脳みそもボケてきたから、かくも露悪、悪趣味、偽悪的な映画に耐えられるようになったにすぎないと思うのだ。

今村昌平は人類を進歩から引きずりおろし、調和をぶち壊す映画作家だと思う。すっかり文明的になった都会人に、お前の本性はこうじゃ、殺し殺しでどん詰まり、おめこおめこで人生ワヤじゃ、お前ら猿じゃ猿じゃと小便をぶっかける。それがあながち間違ってないから困る。しかし正しいからってあなた、あまりに偉そうじゃないですか。嘘でももうちょい、お客さんをいい気持ちにさせてくれてもええやないですの。と、毎度このような気分になるのである。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)Orpheus[*] 赤い戦車[*] 寒山拾得[*]

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