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[コメント] ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019/米)

表現、仕事、愛情、野心をシェイクしたカクテル
ペンクロフ

幾度もなされた古典の映画化ながら、現代を生きる我々にグイグイ詰め寄るアグレッシブな映画で面白かった。セリフがかぶっても平気で続ける四姉妹のキャッキャは過去のどの『若草物語』よりも華やぎの「圧」が強い。

「若草物語」らしさはあまりない。人物の感情はほぼ現代人だ。地獄のようにつまらない「天路歴程」関係はばっさりカット。苦しい生活を宗教への盲信で乗りきる貧乏人メンタリティも強調されない。

一方で古典ゆえかあまり重視されてこなかった重要な要素、ジョーの自己実現にテーマを絞ったことで、脚本監督グレタ・ガーウィグは若草物語を「自分の物語」にすることに成功している。冒頭からすでに「若草物語」をそれらしく作ろうというレベルを遥かに超えている。大鉈ふるった時制の行き来も軽やか。とりわけ興味深いクライマックスは、原作通りにベア先生と所帯を持つのか、お仕着せの幸福に背を向けて文学修羅の道を歩むのか、次号詰むや詰まざるや、その解決は拍子抜けするほど鮮やかで見事なもんだ。でもやっぱりぼかーベスが好きだな。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)irodori[*] けにろん[*] プロキオン14[*] 水那岐[*] ゑぎ[*]

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