気が滅入るばかりの貧困、無知、虐待、暴力の満漢全席を、すぐれた映像技術、ユーモアと機知に富む脚本で流麗に描いている。オレなんかもうこれだけで非常に気に喰わない。白痴揃いの貧乏人どもをネタにする映画屋さんはええとこ住んでええギャラ貰って利口げな顔してキレイな映像撮って映画もヒットしてさぞや人生最高ですなーよかったですなーおめでとさんおめでとさんとしか思えないんだゲロ以下の臭いなんだ。どうです実在の人物にそっくりでしょ褒めて褒めて！　と言いたげな役者どもにも腹が立つ。いや役者は役者の仕事してるだけなのは判ってるんだけど。それにしても役者にインタビューを演じさせるこの映画の「手口」を、オレは強烈に嫌悪する者だ。役者もすっかりその気で張りきっちゃって、言葉を詰まらせてみせるなどクソしょうもない小芝居しちゃって見ちゃいられない。こんなもんになんの意味もねえよ。しかもこの映画、トーニャ・ハーディングのきっつい母親には直接取材できなかったと聞く。にも関わらず制作陣が誰ひとり会ったこともねえやつの再現ドラマにインタビューまででっちあげてカメラに向かってペラペラペラペラ喋らせて、それが二次情報に基づく内容であったとしても好き放題に映画屋のご都合で自由自在の取捨選択、監督が気に入らなきゃテイク2にテイク3だ、挙句アカデミー助演女優賞ゲットときなすった。お前ら邪悪すぎんだろ。こりゃゴミよ。