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[コメント] 女神の見えざる手(2016/仏=米)

ハードコアな「ダーティ・ヒロイズム宣言」を敢行するこの映画が実はフィクションで、現実のアメリカはいまだキチガイが銃買いまくり高校で乱射しまくりという悪夢。
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大きな善のために悪を背負う汚れた英雄像というのは非常にわたくし好みで、もはや男女の別は関係ない。勝利のために人を欺く主人公は肉を切らせて巨悪を断つしかなく、ブタ箱入りの代償を払うやるせなさ。正義は常に許しの中にあるとは限らない。この苦味の按配が実に素晴らしく、これに比べりゃ『ダークナイト』なんてお子様ランチもいいところである。脇役も光っており、乱射事件の生き残り女性や高潔な職業倫理を持つ男娼などすばらしい。

巨悪を打倒することですべて解決、正義は勝つ、大団円! という旧来の娯楽映画の世界観それ自体に全幅の信頼を寄せられなくなっているのが現代だ。問題の根深さや社会の複雑さを丁寧に描くという娯楽映画にはしんどいアプローチもあるにはあるんだけど、この映画は正義の側も手を汚す「ダーティ・ヒロイズム宣言」によってこの壁を突破していると思った。極めてプロレス的なアプローチで、わたくし好みのアティテュード(態度)でした。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)寒山拾得[*] プロキオン14[*]

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