[コメント] おんなの渦と淵と流れ(1964/日)
くどいぐらいのモノローグの多用、文学的な台詞を欠点と感じさせない素晴らしい演出力・構成力を堪能する。冷たい余韻を残すエンディングは『ラルジャン』以来の衝撃。また、背景となる時代の描き方もとても良い。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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倦怠期というか、元々が分かり合えていない夫婦の、お互いに歩み寄り和解しようと努めながらも乗り越えられない壁みたいなものが見事に描写されている。それぞれの胸に秘めた思いや、隠し持っている過去が少しずつ明らかになっていく展開がゾクゾクするほど巧い。第三部に登場する、沢村貞子・川地民夫の隣人親子や、夫の職場の同僚である若い女の存在も、悲劇的なラストに至るまでのプロセスを実に納得性のあるものにしている。
中平康というとモダンでスタイリッシュ、悪く言えば軽薄な作風というイメージを勝手に持っていたが、まったく認識を改めさせられた。
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