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[コメント] 男はつらいよ 純情篇(1971/日)

序盤の森繁宮本親子の人情劇や博の独立に関するタコ社長とのやりとりが楽し過ぎ、無理矢理マドンナにさせられた感のある若尾との盛り上がりに欠けた恋話が余計に寂しく感じる残念な一篇。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







若尾が寅の恋心に気付いていながら、また無理を言ってとらやに雇ってもらいながら、繁忙期にも関わらず、夫の突然の迎えに無神経なまでにそそくさと帰り仕度をし出て行ってしまうところなども、都会の上流階級婦人の気質を表したつもりなのだろうが、やはりこのシリーズには馴染みにくい展開であったように思う。だから寅の恋心にも今一つ説得力が感じられなかったのだろう。そのあたりは本当に惜しい。

それにしても序盤の森繁宮本親子の人情劇は最高だった。寅をふるさとへ戻らすがためのエピソードというだけでは勿体無いくらいの充実度で、正直、圧倒的な存在感だった。また、博の独立問題に関するタコ社長とのやりとりも最高でと、中盤までの演出が快調すぎただけに、終盤の失速ぶりが余計目立ったところもあるのだろう。確かにこの尻すぼみ感は如何ともしがたい。

けれど、だからといってシリーズの中では凡作と、本作を低評価というくくりの中に埋没させてしまうのも惜しい気がする。よってここではあえて高い評価を呈しておきたいと思う。

(評価:★4)

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