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[コメント] ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019/米)

150年の時を超え、取り巻く環境や慣習は違えども、女性が女性として抱く思いや問題の本質は何ら変わらない。だからこそこの物語は世界中の女性に愛され続けている。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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その当たり前でありながら見過ごされてきた真実を、女性ならではの感性で、決して主人公だけに止まらず、それを分身とし書き上げたオルコットへの視点というレベルにまで掘り下げ描き切ったグレタ・ガーウィグ監督は、結果、誰もが性別の垣根を超え、自身を当代随一の有望株と認めざるを得ない存在へと引き上げることに成功した。

そのような視点で例えば主人公ジョー(シアーシャ・ローナン)の恋愛成就に関する部分を見てみると、その相手役が誰もが望むローリー(ティモシー・シャラメ)ではなく、むしろ端役ですらあるフレデリック(ルイ・ガレル)であるところなどに、「決して誰もが望むような結末は書かない」とのオルコット(彼女自身は生涯独身を貫き通した)の強い意志が感じられたりもして面白い。

個性と才能溢れる役者陣を取りまとめ、決して嫌味なく、四姉妹や母、伯母といった女優陣はもちろん、脇に回らざるを得ない男優陣に至るまで、良くも悪くも感情移入してしまえるような描き込みの深さ。美しい美術、衣装、それを切り取った見事な映像。シアーシャ・ローナンがスカートの裾を引き上げ疾走するシーンの躍動感など、至福のひとときに浸りきれる135分。傑作。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)水那岐[*] けにろん[*]

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