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[コメント] リチャード・ジュエル(2019/米)

余計な物事を描き過ぎない消去法演出が今回も冴え、尺の割にはリズムよく観られるが、省略しすぎて「それはどうなの?」と思ってしまうポイントは何点か見受けられる。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







例えば女性ジャーナリスト・キャシー(オリヴィア・ワイルド)が冤罪の可能性に気付いて自らアリバイの立証に動く場面も、先に弁護団による同じシーンがあるからと「彼ではない!」の一言で終わらせる場面などはいくら何でも乱暴ではないかと思うし、その後の彼女の心の動きを母親の演説の際の涙ひとつで片付けてしまうところなども説明不足だろう。

またFBIの悪質ともいえる取り調べの象徴のような不正入手された声紋について、その後全く描かれることなく放り出されたまま終わっているのもやはり気になる。

がしかし、そういった不満を忘れさせる役者陣の好演(特に母役のキャシー・ベイツが素晴らしい!)や、真犯人をあえて見せず、最後の主人公と弁護士との粋な再会シーンにつなげるあたりの演出の冴えは、さすがはイーストウッドだと唸らざるを得ない。事件現場である夜のセントラルパークの光の使い方も見事だ。

正直、彼を代表するような作品ではないが、それでも毎年このレベルの作品が観られるのは、本当に嬉しいことだと思う。

(評価:★4)

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