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[コメント] 蜜蜂と遠雷(2019/日)

恩田陸の原作が本当に素晴らしかったので、公開時はダイジェスト版を見せられたような違和感を感じてしまったのだが、時を置いて再見した今は、あれをよく映画化してくれたなという感激の思いのほうが強く感じられた。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







石川慶は前作の『愚行録』を観て、少し引いた目線で、物事が広く、けれど深く見られる人だなという感想を持つと同時に、ピオトル・ニエミイスキの独時の青味を帯びた画調との相性の良さをも感じたのだが、今回、その印象はさらに深まった。

特に4人のピアニストそれぞれに異なる聞かせどころを用意し、その性格や方向性の違いを示すところなどは改めて巧いと思ったし、前作で多くの方が指摘されていた「〇〇が〇〇したようには見えなかった」という問題も具備され、登場人物それぞれが素晴らしいピアニストに見えるという大前提が十分満足できるレベルに昇華されていたところにも好感をもった。

また、役者陣が端役にいたるまでそれなりの存在感を示していたところ(特に松坂桃李周辺の描写がよかった!)には、いわゆる群像劇としての面白さもあったし、冬の海岸の、波よりも風を感じさせる演出の爽やかな切れ味にも好感をもった。

(評価:★4)

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