親子の断絶という和解とテーマを国技と言っていいベースボールを絡ませて見せる本作は、本筋だけでなく娘の恋愛や鼻もちならないドラフトの目玉選手の行末にまで観客が望むとおりの結末が用意されているという、近年まれにみるアメリカ映画の王道をいく作品である。これらの結末には多少強引なところもあるが、そういった不満を鑑賞後の清々しさが全て蹴散らしてしまう（ピーナッツ・ボーイにはやられた！）。そこがいい。

またベースボール好きには、アトランタ・ブレーブスの歴史を彩った実在の名選手の名が次々と出てくるところも楽しかった。あとは主人公のガス（イーストウッド）が亡き妻の墓前で「カントリー・ロード」の歌詞を口ずさむところや、夜中に湖（あるいは池？）に飛び込む際のエイミー・アダムスの膝抱えポーズの何とも言えぬ可愛さなど、何気ないシーンにも丁寧な演出が施されているところにも好感をもった。

決して後世に残るような大傑作ではないにせよ、誰もが安心して見られる映画である。こういった作品がイーストウッド主演で公開された幸せを、より多くの人に特等席で味わっていただければと思う。