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[コメント] パリの恋人(1957/米)

パリの休日?
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







決して王女などではない一般市民が、つかの間異国で旋風を巻き起こし恋に落ちるという物語的柱は、あのヘプバーン出世作のパロディとしか思えない。そうか、だからこそパリなのか。なるほど、パリならばローマに勝るとも劣らない舞台だ。これはもう本当に遊びだね、

本作はそんな遊び心のもとに「アステアヘプバーンとの共演でミュージカルが撮れたら楽しいだろうなぁ、それも舞台をパリで!」との製作者の意図がそのまんま映像化されただけの作品なのだが、それでもこれが1本の作品として成立しているどころか何度も観たくなる佳作となっているところにまずは拍手をおくりたい。そういう意味で本作はミュージカル映画のいい面のみを強調したことが成功した、ミュージカン映画らしいミュージカル映画と言ってもよい作品だと思う。

正直ヘプバーンに対しては、「思っていた以上に踊れるじゃないか!」という驚きの思い半分と、「でも、歌は主役を張るほどではなぁ」というやや残念な思い半分という微妙な評価なのだが、そのあたりの微妙感をアステアトンプソンのベテラン2人にさすがの貫録でフォローさせるあたりもすべて計算済とはいえ「やられた!」というプラスの思いが残る。

またプラスの思いといえば、本当に見事としか言いようがない舞台装置の的確さ、素晴らしさ。特に個人的にツボにはまったのは、踊りの流れを妨げず、しかもポーッとしてしまうほど素敵に画をきめてしまうあの「いかだ」であった。最初川の反対岸に渡るだけの装置であった「いかだ」が、最後2人の幸せを運ぶ装置へと転換されていく様の粋さには、「これぞミュージカル!」との思いを抱くしかなく、そのまま終幕へと向かう締めも好みであった。

(評価:★4)

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