[コメント] 和製喧嘩友達(1929/日)
若き小津の、敬愛するアメリカ映画への果敢なるアプローチ。たとえ短縮版であっても、私はこの作品が観られたことを心から嬉しく思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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基本的には当時のアメリカ映画の模写だとはいうものの、食事のシーンや題名ともなった喧嘩のシーン、あるいは車や汽車のシーンなど、現存するたった10数分のフィルムの中だけでもこれほどの魅力的なシーンが溢れているところに若き小津のアメリカ映画への敬愛と傾倒ぶりが見られて本当に嬉しくなる映画だ。
先に幾人かの方も書かれているが、特に最後、結婚し、町を離れていく娘を乗せた汽車を追いかけて、砂埃をあげて疾走する馬のごとく、モクモクモクモクと砂埃をあげながらトラックを並走させるシーンが素晴らしく、その車が踏切で止まらざるを得ず、急停車し、中から出てきた2人が汽車に向かって手を振り続けるというラストシーンにも(この頃からすでにラストシーンは汽車なのだ!)涙が出そうになってしまった。
まだまだ演出スタイルは固定されていないが、それがまたエネルギッシュな若さを感じさせて清々しいし、小津作品のスタイルの根本はやはりアメリカ映画なのだということを確認できるだけでも観られたことを心から嬉しく思う映画である。
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