コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ドラゴン危機一発(1971/香港)

川辺で葛藤するブルース・リー。その心の叫びを台詞にする必要なんかなかった。彼は無口なところがかっこいいのだ。別のシーンで僕は確かに聞いた。彼の無言の叫びを。
空イグアナ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







製氷工場で仲間の死体を発見し、敵と戦う。その後、彼は一つため息ついた。あのため息は、単に一戦終えて「疲れた。」というものではなかった。母親との約束を破り、「とうとうここまでやってしまった。」というものだった。少なくとも僕はそう感じた。

優れた映画は、台詞が無くても心の声が聞こえてくる。僕はあのシーンでブルース・リーの心の声を感じたのだ。

ところがその後、川辺で葛藤するリーの心の声を、そのまま台詞として説明してしまう。あのシーンに台詞はいらなかった。製氷工場のときと同じく、リーが川辺に座っているだけで心の声が聞こえたはずだ。

映画は映像で勝負すべきであり、説明的な台詞はいらないとはよく言うが、ヒーローという視点からも語っておきたい。無口なヒーローはかっこいい。これは映像が勝負の映画だけでない。小説でも同じことだ。説教くさい台詞を長々と喋るよりも、短い台詞をビシッと決める。これが本当のかっこいいヒーローだと思う。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)IN4MATION ペンクロフ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。