[コメント] 透光の樹(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ポスターに惹かれ、「きっと綺麗な映画なんだろうな」と予備知識ゼロの状態で、勝手な想像を膨らませながら鑑賞。劇場ではスクリーンを指差しながら、笑いをこらえるのに必死でした。
綺麗なシーンが連発して、静かな中、官能的な悲劇が展開される物と想像していたのだが、まぁ遠かれ近かれという所か。確かに静かな空気の中、官能的な悲劇が展開されるんだけど・・・俺がガキって事もあるのか、この映画良く分からなかったよ。
バカバカしい台詞、シーンが連発される度に俺は椅子からずり落ちて、笑いをこらえるのに必死だった。なんだなんだ、下らねぇなぁ、と。
撮影も、俺は光をやたら取り込んだ幻想的な映像――例えば岩井俊二とまで行かずとも、その辺りの感覚――を勝手に想像していたのだけど、見てみれば何のこともなく、火曜サスペンスだか、金曜エンタテイメント程度の物ではなかろうか?いや、失礼な言い方かもしれないけど、実際に映画を見ている間「テレビで十分ジャン」という気持ちしかなかった。何が嬉しくてこんな古臭いメロドラマを高い金払って見なけりゃいけないんだよ(←調べない俺が悪い)。
「この先には何があるのかな?」
とかなんとか、ま○こに指突っ込んだまま優しく語り掛ける様子は、本気でコメディにしか思えなかったんだけど、場内微動だにせず。なんだよ、コレ、コメディじゃねぇの?
「君の右耳は僕の右耳、君の右乳房は僕の右胸・・・」と言う台詞、ラストシーンに聞いた時は中々良かったのだけど、あの男が最初に言い出した時は思わず椅子からずり落ちたぜ。
GとCが重なって「僕らはここで重なってたんだ」とかグラビアアイドルのポスターの前で喋ってる姿も、数年前の昼に放送されてたトレンディドラマの再放送を見ている感じ、と言う印象(いや、見た事ねぇけど)。
もっとも、上記の二つの部分は後々にラストへ繋がるのだけど、正直、ラストで主人公女性が樹の所で自殺を図ろうとして見つける「GとC」の文字と、(天国から?彼女の胸のうちから?)聞こえてくる男の台詞など、ホント、コメディにしか見えないんだけどなぁ・・・。
いや、あの、なんというか、社長(主人公男性)が「さよならパーティーIN外人クラブ)で「俺の最後の「マイウェイ」だ」とか歌いだした時にはたまらず笑っちゃいましたけどね。そして、その周りで部下達が涙している姿が、なんかたまらなく可笑しくて・・・
大体、次の台詞何が出てくるかも時々読めちゃうし、「実は大腸ガンでしたー」と言う話のキモにも大した捻りも無い。主人公達に感情移入できるか、と言うと全く出来ない。っていうか劇中人物誰一人として感情移入できない。あ、だからR−18なのか。でも俺、今年で18歳なんだよなぁ・・・(そういう問題じゃない)。
◇
しかし、全て悪いとは思わない。全体的にて見ると退屈で二時間が苦痛で時計ばかり見ていたのだけど、クライマックス終盤(電車での別れ)からラストシーンに至るまでの一連のシークエンスはこの作品の中で突出しており、コレがなければこの映画は死んでいたと思う。まぁ、あの電車のシーンにしても、プラットフォームで泣き崩れる女性とか、壮絶にステレオタイプな描写で、これまた爆笑してしまったのだけど。更にその後樹の根元で男の声が聞こえてくる時なんてもう、アホらしくてアホらしくてたまらなかったのだけど。
でもでもでも、エピローグの「15年後」の所(ボケた主人公が、それでも郷(男)を愛している姿を見て、娘が「お母さん、私の知らん所で男がおったんね?」と呟くシーン)はとんでもなく良いシーンで、作品の中でココだけ突出している。
まぁ正直言っちゃうと、あまり「映画を見ている」と言う感覚はしなかった。本当にテレビドラマ程度にしか感じなかった。ので、★1を献上する。
◇
最後に名シーンを一つ。
裸で重なり合っている二人。
「燃えると全部灰になるのかな?」
「(乳房を触って)そこは脂肪だから全部灰になるわ」
「じゃあ(女性の股間に手をやる)ここは?」
「そこは・・・・最後まで残るかもしれませんね」
いやぁ、コレをマジで演出するセンスには脱帽だ。ジャンル訳に「comedy」を加えたくてたまらない。
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