兄弟が銃を突きつけあい、殴り合い、殺し合う。コレはまさに朝鮮戦争の本質であり、監督の平和に対するメッセージなのだろう。俺はこのシーンに至るまでに完全に冷め切っていた為か、全く面白味を感じなかったけど、あまりにも悲劇的なシチュエーションであり、ソレが今も尚続いている現実。なんて重いんだ。

カン・ジェギュのメッセージも、作品がやりたかった事も良く分かるのだけど、果たして『シュリ』程の作品を撮れる監督が、何故こんな中途半端な、ある種メチャクチャな作品を作ってしまったのか、俺にはソレが疑問でならない。

作品のテンポが速い、と言うのだろうか。何か話を無理矢理詰め込んだ為、長尺になってしまった物を切り詰めた、と言う感じがしてならない。登場人物の感情を語るよりも、物語を進める事に重点を置いているようで、結局定番の音楽演出とドラマティックな悲劇的現実の重みで泣かせているだけにしか思えない。実際、「アレ？」と思う箇所でシーンが次に飛んだりして、個人的には編集が下手糞と言うか、そんな感じがした。

平和な韓国に突如戦争の知らせ。そして徴兵と悲惨な戦場の現実。赤狩りや脱北兵。そして兄弟が銃を突きつけあう結末・・・

確かに兄弟の物語をきちんと描いていると思うし、少しずつ亀裂が走っていく様子は上手く描けていたと思うのだけど、果たしてそれだけでいいのだろうか？二人だけを描いて、周囲の兵士達は本当に添え物程度で、結局、俺には最後の「兄弟が銃を向け合う状況」を作りたいが為、つーか朝鮮戦争の歴史を見せる為だけの映画にしか思えず、あまり良い様には思えない。

いや、確かに知らない事ばかりがスクリーンで繰り広げられていて、新しい発見ばかりだったけどね。そりゃ。でも、それは資料集であって、映画はもっともっと人物のドラマにも重点を置いても良いと俺は思うのだけど・・・

何か、カン・ジェギュは『シュリ』の時よりも遥かに映画を作るのが下手になった気がするんだよなぁ・・・・

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二時間半の大作映画。ユニバーサルのロゴが最初に入る所を見ると海外市場に照準を合わせた作品なのだろうか。豊富な資金で景気良く爆破を繰り返す迫力の戦闘シーン（けど、何だかんだ言って結局至近距離に詰め寄って殴りあいに落ち付いてるけど）。迫力はあるのだけど、あまりにカメラが揺れすぎて何をやっているのか良く分からない時もしばしば。

戦争映画で手持ちカメラで手ブレを多用して臨場感を出す演出は良くあるけど、なーんかやりすぎじゃないかなぁ、って思った。それに比べて『プライベート・ライアン』とかの撮影は本当に上手かったんだな、と関心。

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音楽はやっぱりハンス・ジマーチックになる。最近の韓国映画は力をつけてきて居るとは思うけど、ハリウッドの二番煎じな所がしばしば見られるのが何か見ていて悲しい。あと、戦闘シーンで無駄に音楽を垂れ流すのはやめて欲しい。無駄に「ここで気持ち高ぶらせて！」「ここで泣いて！」と言う風に背中を押されているみたいで、冷めてしまう。別にそういう演出は嫌いではないけど、韓国映画って、特にメジャーで公開される奴ってそれが強すぎる様に思える。面白いのも多いけどね、そりゃ。そのお陰でボロボロに泣かされた事も多々あるけどね。

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朝鮮戦争の歴史は全く知らずに見た為、スクリーンで行われている行為にはひたすら驚き続けた。オープニングの平和な描写にうんざりしながら、中途半端に高ぶらせておいて観客を置いてけぼりにする編集に冷めながら、兄貴の最強ぶりに驚きながら、ひたすら心揺さぶられるドラマを待っていたけど、あったのは「悲劇的なシチュエーション」だけ。

俺、『シュリ』も全く同じ悲劇的なシチュエーションだったと思うけど、恋愛ドラマが軸になっていた分、単に「メッセージ映画」としてだけではなく、一級のエンターテイメントとして成り立っていたと思うんだよね。この映画と違って、中途半端な感動と違って。

一応補足しておくけど、俺は物語の強引さはあまり好きではないけど、話としては詰まらないとは思わないし、兄弟の事もきちんと描けていたと思う。ただ、シーンが変な所で次々に飛んでいくから感情が描ききれてないんじゃないの？と思う訳です。

お陰で退屈だった。戦闘シーンの爆音は凄かった。うむ。

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劇場ですすり泣く女性二人組み。とっとと劇場を後にする老人。見終わった後、女性二人は涙を拭いながら「カッコ良かったぁ〜」

何すか、それ。