小粒な作品かと思っていたら、ハリウッドまで話がすっ飛んで行き、カレンダーで大成功つーんだから、このオバサンたち、いずれ破滅するんと違う？と、少々スター気取りで有頂天のオバサンたちには不安と同時に軽く嫌悪感を感じた。

家庭を省みずにカレンダーを売りまくる主人公の姿には、もはや「田舎の何処にでも居る主婦」と言う姿ではなく、都会のキャリアウーマン的な見た目で「これはもしや映画が脇道に逸れるのでは？」と心配した。しかも、実話だから本当なのだろうけど、ハリウッドであんなに有名になっちゃって、この人たち、当初の目的忘れちゃってるんじゃないの？とか軽くムカムカもしたけど、物語の終わらせ方が実にこじんまりとしていて、素晴らしい。

ヨークシャーに戻って夫と仲直りした後、友達とも仲直り。そして、エンドロール前にテロップ。

a sofa

どれだけ金を儲けても、当初の目的をきちんと果しているってんだからホント、心温まる良い締めくくりだった。

実に見事な脚本。物語をこじんまりとした雰囲気で語り始め、ドンドン風呂敷が広がってゆくが、最終的に綺麗に畳み込む。素晴らしい。

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とにかく女優人が魅力的。女性同士の会話の中の台詞の一つ一つの魅力も忘れられない。そして、ヨークシャーの風景の美しさ。全てが見事に噛み合った素晴らしい作品。

人物像も見事で、一人一人個性的に描きながら、しかしこの人たちはどこにでも居そうな程温かみに富んでいる。ある日突然隣の家に住んでいても違和感が無いのでは？と思うほど自然な人物造形。

テンポの良い展開で一気に描ききる前半と、そのカレンダーによる大騒動を描いた後半。焦点を家族との関係や、周囲の賛否両論の反応、そして友情。前半と雰囲気を変えながらも、最後の最後に前半のノホホンとした雰囲気に戻らせる。実に見事。

素晴らしい作品に出会った。純粋に面白い。心が温まる良作。