ま、同じ荻上直子監督で、主要キャスト（小林聡美ともたいまさこ）が同じなので、監督の前作「かもめ食堂」の雰囲気をそのまま引きずっている。例によってストーリー的にはほとんど起伏がないし、登場人物の設定もなんでここにいるのかもほとんど説明がない。まあそれはいいけど。地方の浜（といっても明確に与論島なのだが）の海は美しいし。

ただねえ。前作同様穏やかな雰囲気でゆったりできる映画かと思ったらそうでもない。なんせ、「たそがれもしないのになんでここに来たの？」である。そりゃまあ南の浜辺にひとりで行くと人はだいたいたそがれるもんではあるが（俺も沖縄の浜辺ではたそがれるけど）、そんなことは人に強制されてするものではない。その辺が、他の住民の変な行動と合わせて変なコミュニティが形成されているようでなんだか窮屈である。「かもめ食堂」は個人どうしのつかず離れずの距離感が心地よかったのだが。

たそがれるのくらい勝手にやらせてくれよ。というわけで前作と比べると出来はイマイチ。