[コメント] 丹下左膳餘話 百萬両の壷(1935/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
百万両の壺、人間の喜怒哀楽のツボを象徴しており、そのツボは百万両の価値があるということを証明していくための必須アイテム。ツボ=エンターテイメントを心得、その重要性を理解しまくった映画の神に見初められた最高の人情派監督による「丹下左膳余話 百万両の壺」は永遠に不滅不朽で新鮮です!!
さらに!
作中の人間味魅力溢れる登場人物は「こけ猿の壺」に振り回されてコケにされ、観客もそれを見て一緒に登場人物以上に振り回されるも本望!サービス精神旺盛のエンターテイメントの王道を「これでもか!」と見せられても少しも食傷には至らず、むしろ体を蝕む暗い気を明るくしてくれる浄化作用がこの映画に確かに存在する!永遠に終わりを迎えて欲しくないという感情が心の底からマッハ10でこみ上げてきた我が心の暫定一位映画!!
さらに!
落語の小咄のような個々の映画を構成する魅力溢れるパーツが、洗練された「省略法」と「逆説の話術」からくる軽快なテンポによって幾重にも重なり互いに高めあって物語を成立していく姿には、天才山中貞雄の現在も邦画史に高い評価を維持しつづけ君臨し続ける才能の後光の偉大さが凝縮されている!山中貞雄の墓は京都市上京区大雄寺、つまり我が家からみて北に足を向けて寝られない!これから毎年山中貞雄の命日である9/17、才能をもらいに大雄寺のお墓に参る!!
ラスト、柳生家次男坊が百万両のこけ猿の壺を百万両に換金せずそのままにしたシーン「人の命、人と人との繋がりは百万両のお金には換えられないものなんですよ」という優しい声の弁士、山中貞雄の声がスクリーン横から聞こえてきた。
2002/9/15
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