コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ゲーム(1997/米)

サッカーの試合、後半20分の1−0からの逆転逆転また逆転、同点→延長戦で劇的Vゴール。弟からの絶妙のアシストで、第二の人生をゲットした兄のヒーローインタビューは最高でした。小野選手が出ていないから少し残念かな…
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







出だしから不穏な空気流れていたので、展開が読めない展開にドキドキの連続だった。最初の適正テスト?が長くて、この後の伏線なんだろうなと思ってみていた矢先に、経済ニュース番組が一転、ゲームの始まりのホイッスルを吹いてビックリ笑った!それも権威付きのオッサンが!

何と言うか、ここでは彼に足りない『ユーモア』を与えたんだろうと思う。彼は仕事を私生活に持ち込み、(メイドはいるが、)独り孤独に、中身がない豪邸に暮らしていた。彼には友だちがいなかったのだろう。妻に逃げられた。それに、弟コンランドが全くニックに連絡してこなかったいう。ニックの性格の異常さがとことんうかがえる。

……どんでん返しの連続が魅力のこの作品。でも私は、どんでん返しで主人公が成長していく様が一番の魅力だと思う。どんでん返しに気をとられて見逃しがちだけど、彼の成長は目を見張るものがあった。

ニックはゲームを通して『ユーモア』を手に入れ、様々なハプニングを乗り越える事で『生命力』を強化、銀行口座内の金をゴッソリ盗まれ&会社倒産で貧乏生活を味わい『博愛の精神』を手に入れた。そして、自宅までの交通費捻出のため仕方なく、父の形見である時計を売る事で『呪縛からの解放』を果たし、元妻へ自分の過ちを許してもらうと共に自分の過去を見つめる事の出来る『人間性』を取り戻した。同時に妻から車を借りる事で人の親切をありがたく思う『有り難み』を得る。で、弟を銃で撃ってしまうが助かり、自分から死を選んだが助かった事で『命の尊さ』を学び、父を乗り越えた。

「兄のプレゼントの請求金額を兄に払わせる」これがミソ。本当に、このゲームを通して人間的に成長しているかの分かれ目だった、この弟の最終試験があってこそクリスティーンにたどり着けたのだ。いや、辿り着かせたのだ。また、請求金額が幾らだと示されていないのは、このゲームを通してニックが得たモノがいかに凄く、お金に換えられないかというのを象徴しているだろうと勝手に思っている。

悩みを抱えすぎ、地面で死んで逝ってしまった父親。その親の運命を辿って生きていた兄の姿を見かねて弟が渡したプレゼントを兄は、一生大事大切に使うだろう。鍛えられた生命力と、人の身になって考えられる思考と優しさ溢れる彼なら父の二の舞にならないと断言できる。その仕上げに新妻クリスティーンを用意しているのだから、むしろ父以上の偉大な経営者になるだろうと思われる。…ニックとクリスティーン、苦難をこの二人で乗り越えさせる事で、親近感を愛に変異させることに成功したCRS社恐るべし。そしてCRS社の身体検査および精神分析テスト恐るべし。

心憎い演出してくれるフィンチャーはやっぱ凄い。仕事で忙しくて時間がない人々に、手っ取り早く教条@次世代的エンターテイメントで見せてくれる監督、フィンチャーはやっぱ凄い。

2002/10/6

「私は盲目であったが今は見える ━━ヨハネ第9章25節━━」

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)ナッシュ13[*] TAKAどぅ〜[*] starchild[*] けにろん[*] m[*] Ryu-Zen[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。