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[コメント] 帝都物語(1988/日)

西村晃の実の父親である西村真琴博士が造った人造人間『学天則』を出したかったがために作られた映画と言っても過言ではない&小遣い稼ぎが出来たギーガーの笑みが頭に浮かんでしまう。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本来ならば『陰陽師』が、なんちゃってヒットを果たしたので、再評価されるかなと思ったらやはり抹殺されていた。陰陽師を取り扱いながら、東京の失われていく美しい景観を守ろうという、宮崎駿イズムの流れをさりげに汲んでいる、まさに魅力溢れるダイヤモンドの輝きなのだが、風水的にそれらの要素を活かしきれなかった。

むしろ風水や地相学というよりも、映画相学又はフィルム相学の観点から見れば、それらの要素を活かせることが出来なかったのは一目瞭然である。駄作の原因は、特撮や合成や構成の下手さ不味さはもちろんだが、一番はキャスティングだろう。原田美枝子と絡ませて、地味に桂三枝を大活躍させた反面、ダイナモであるはずの嶋田久作を、動かない働かない二代目どら息子系ダメ社長のように演じさせるとはどういうことか。さらに、鬼門である中盤という中だるみの時間帯になりがちな場所に、荒俣宏を配置する奇行に走ってしまい、映画の運気を低下させてしまった。(いとうせいこうの出現にも言える。)

ビアホールに荒俣宏は出ていたのだが、普通ならば大勢の中から一人の男を捜すことは大変難しい。『ウォーリーを探せ』シリーズに昔ハマった人間ならどれほど難しいかお分かりだろう。では、ほんの数秒しか時間が与えられなかったのに何故見つけられる事が出来たのか?あの一度見たら忘れることが出来ない『顔』だ。その彼の顔は映画全体に強い圧力(別称:顔圧力)を与えてしまった。ほんの数秒なのだけど、映画を破綻させるには十分であったと私は思った。

さらに、さらにである。H・R・ギーガーも彼の顔からインスピレーションを得ていたのだろう。鬼等の出来上がり具合は、まさに荒俣宏!(思いこみ激しく)どうみても荒俣宏!風水師の李家幽竹、又はゴーストライターを数人抱えている似非風水師Dr.コパなら「西に黄色、見る前にテレビの前に盛り塩を」と言いたくなること間違いなし!この映画のあらゆる所に存在する荒俣宏氏の後光は、この作品を破滅させると同時に見る者の運気を下げさせる威力を持っているといってもいい。と、占い好きの私は見た後のストレスを晴らす為に勝手に、そう思いたくもなるのであった。

「あそこは学天則じゃなくても、トロッコにダイナマイト詰め込んで突っ込ませたらいいではないか。西村晃よ、アンタは喜んでいるかもしれないが、父は喜んでないと思うぞ。」と言う言葉と共に。

……そう言えば、考えてみれば石田純一の方が荒俣氏のお顔からの後光よりも、強烈かも知れない。だって、石田純一の後から出てくる女優を見るたびに「この人、石田純一に喰われたのかな?」「原田美枝子は喰われただろうな」「水沢アキみたいに、この中から誰か追随しないだろうか…」と想像してしまい、映画に感情移入出来ない!卑怯だ!健全にゴシップ好きの私は映画に集中できないではないか!平将門よりも怒った!

で、なんと私は、途中から仕方なく石田純一を中心に持ってきてションボリ見ていた。そしたら「石田純一の顔は非対称」を発見できた。この作品から、こんな大きな発見を得られるとは感激だったので、そこに+1点献上。

2002/10/14

(評価:★1)

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