賃金労働者の悲哀をくっきり、ほんとうに丹念に描いてる。 能率を上げろと頑張らされた挙句、職業病にかかり、会社が左前になるとあっけなく解雇され。 労働者の権利を守ろうとすれば、アカだといって投獄されるとは。何か悪いことしたっていうの？　まるで虫けらのような扱い。 小ぢんまりした、掘っ立て小屋で、ささやかな生活をはじめる二人。閉鎖していた工場が再開されると聞いて、すわっと駆けつけ職にありついたものの、またまた不景気で、失業。 そして、またまた職探し。その間、お上からさずかった、推薦状がものを言う．．．。

ところで、資本家が、必死に守ってきた資本主義社会の末路は、この映画が作られた年代においてさえ、既に露呈しているのに、無理やり戦争やって、何もかもぶち壊しながら、いたずらに延命してきただけという気がする。

そんな資本主義社会も、そろそろご臨終のときなんじゃない？　 自分などちっぽけ過ぎて、まるで無力なように思えて、この先不安だけど、へこたれないで、自分達の未来は、自分達で決めようよ。 そんな気持ちになる映画。