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[コメント] 怒りの葡萄(1940/米)

ブルドーザに踏み潰される家、なすすべもなく立ち尽くす人々。劣悪な環境に暮らし、飢える子供達。30年代のアメリカで起こった特別なことでは決してない。
kazby

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ついこの前もテレビでODAの実態を映していた。 この100年間、絶え間なく、あらゆるところで行われてきた破壊と暴力の根源は、貧農を囲い込み(農地を囲い込んで小作を追い出すの意味)、移民を生み出している構造と同じもの。

ストライキを呼びかけるケーシー(ジョン・キャラダイン)だったが、経営者はいくらでも働きたい移民たちを補充できるのだった。 そこでは敗北してしまったけれど、それが、トム(ヘンリー・フォンダ)を立ち上がらせるきっかけとなった。 人間らしく生きるために、”闘う”ことが出来るんだと、目覚めていく様がよく描かれており、それが、自分や家族をこえたもっと大きな塊に力を与えるのだと信じて旅立つ。 そんな息子のパワーは母親にも伝染し、新しい移転先に不安を覚え、弱気になっているつれあいをドンと励ます姿が美しい。

(国営キャンプで)「なぜ、(こういう施設が)少ない?」と尋ねるトム。 彼らが強制的に土地を追われ、餓死寸前の移民生活を余儀なくされたのは、不毛の乾燥地帯の利益率を上げようと、大規模化を試みる政府の、農業対策のマイナス作用だった。 政府の用意した衛生的なキャンプは、内外への政治的宣伝に使われていたものだったのだろう。 ダンスパーティーでの暴動をでっち上げ、煽動者を摘発しようとした警察のたくらみをまんまとかわしたエピソードに思わず拍手だ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ジャイアント白田 らーふる当番

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