コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] リーベンクイズ 日本鬼子(2000/日)

靖国にA級戦犯を祀っている。それを首相が参拝する。一部の日本人を除いては、他人事でしかないこの事態を、日本に踏みにじられたアジアの人々は深い悲しみと怒りを持って今もなお見つめる。彼らの戦争は終わってはいない。
kazby

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「「A級戦犯」等という呼び方自体がでたらめだ!」と、怒る人もきっとたくさんいるだろう。 あの戦争が、自衛のために仕方がなかったという人もいるだろう。それはそれで、戦争による受益者にとっては多分正しいのだし。 戦争に負けたからって、韓国や中国に付け込まれるなんて情けない!と、怒ってみせるプチ・ナショナリストもいるが、そんなものどうってことない。

しかし、人として、やってはいけないことがある。 たとえ、日本が唯一の被爆国であると主張し、アメリカが国際法を破って、民間人を爆撃したと吠えてみても、それを戦後かの国がいっさいの補償も謝罪もしなかったと攻撃したところで、かつて日本軍が行った無謀かつ残虐極まりない作戦を、加害責任を正当化する理由の序文にさえならない。 最も恥ずべきことは、その戦争の最高責任者である天皇を生き延びさせたばかりか、人を鬼に変える戦争を生み出す体制をついに葬り去ることが出来なかったことだ。 戦争中毒・アメリカのことをとやかく言う資格が我々にあるのか?

1931年、37年、41年...45年と、8月15日の敗戦放送にいたって、ようやくほっと一息つける。 別に見なくてもいいんだ。いいんだが、この悲しき苦渋に満ちた戦犯たちの告白を、せめて記憶にとどめようと身をよじりながら、見つめていた。 戦後釈放され、ようやく日本にたどり着いた彼らを待っていたのは、再び朝鮮半島を踏みにじった朝鮮戦争の特需景気によって「もはや戦後は終わった」とうそぶき、共産圏から帰国した彼らをスパイと罵るふたたびの帝国主義・日本だった。そして、ここから、日本の再軍備もはじまったのだ。今、体のあちこちにたまっているこの言いようのない怒りは、明日も自分の運動を支えるガソリンになるだろう。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。