[コメント] ヴェロニカ・ゲリン(2003/米=アイルランド=英)
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ヴェロニカ・ゲイン自身と、世界中でリスクを犯しながらも活動を続けるジャーナリスト達に捧げられた作品である。というのはよーく分かる。しかしながらいまいち解せないのは、この作品が映画としてどのような立場に立ちたいのか…ということ。
一人の女性の伝記的な作品なのか、アイルランドにおける麻薬汚染の実態を暴きたかったのか、それとも単なるドラマ作品なのか。客観視すると、それらの要素を満たしているように思えるかもしれない。しかしながらよく考えてみると、フィクションとノンフィクションの狭間における曖昧な描写の問題だったり、ゲイン銃撃の真相だったりと、それらの描写はかなり中途半端である。荒削りすぎる。冒頭にあった「事実に基づいた話」(そう表明している)というのは分かるのだが、どうもその辺が投げやりのように思えて仕方がない。スローモーに綴る葬式のシーンなんて必要だったのか(ん?光り輝くジェリー・ブラッカイマー?)
作品として潔く引いていれば、それこそ一級のドラマであったし、アイルランド国内の酷かった麻薬汚染を表現できていたように思える。作品がゲインに頼っている部分もあるし、ドラマ要素に頼っている部分もある。そのへんがいまいち頂けない。
それでも全体的には冷たいながらも綺麗な映像に固執されており見応えがある。ケイト・ブランシェットに限って言えば、まさに一級品の演技力。これだけは圧巻だ。また、どういう理由かわけわからんが非常に頭の悪そうなチンピラでチョイ役出演のコリン・ファレルが面白かったりもする(おそらくはシュマッカーのお声がかかったのだろうけど)。アイルランド訛りのコリンは初!だから少し嬉しかったり。
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