コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 鮮血の美学(1972/米)

戦慄と滑稽を併せ持つエログロを象徴するかのような凄まじさがある。常に「情」を抱かせる脚本は、途中で立ち止まり、後ろを振り返り、そして裏切る。そこには不快感と緊迫感が入り混じった、なんとも形容し難い要素がある。これは傑作だ。
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







以前から気になっていた作品を、ようやく鑑賞することが出来た。フレディの生みの親とジェイソンの生みの親がタッグを組んで、こんな人間ドラマを撮っていたなんて、俺はますますホラー映画が好きになってしまいそう。

作風が典型的なポルノ映画のようで(というか素人目にはそんな雰囲気)、BGMにもカントリーが多く使用されており異色さが目立つ。それでいて、リアリティに富んだスプラッタ描写が印象強く描かれている。この辺のギャップこそ、この作品が持つ絶対的なパワーだと思う。彼女達を無造作にトランクに積める場面も、陵辱し強姦する場面も、沼に居る彼女を銃で撃ち抜く場面も、全てがリアルに描かれる。緊迫した場面の後、軽快なリズムに乗ってカントリーが流れると、一気に不快感が湧き起こっていく(それはホラーを観る上で、一種の快感でもあるが…)。

ラスト20分で「両親による復讐」というシフトチェンジを図ったことも大きい。この作品は気取ったアート作品ではない。あくまでもホラー映画であり、観客をわくわくさせる為に存在している。両親の間でどのような会話が交わされたのか一切描かず、口数少なげに淡々と復讐を繰り広げる終盤は最高に怖い。長い長い伏線が一気に爆発した場面だった。

ここからは余談。IMDbを見ていたら面白いことに気付いた。

犯人の「Krug」は、後に「Freddy KRUEGer」として蘇るということ。

フレッド・J・リンカーンは現在、ポルノ映画監督だということ。

そして、この作品は当初X指定を受けていたということ。シーンを削っても削ってもX指定が覆ることは無く、結局そのシーンは全て撮り直したということ。

てなわけで、久々に傑作と呼べるホラーに出会えました。大満足。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。