[コメント] 鮮血の美学(1972/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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以前から気になっていた作品を、ようやく鑑賞することが出来た。フレディの生みの親とジェイソンの生みの親がタッグを組んで、こんな人間ドラマを撮っていたなんて、俺はますますホラー映画が好きになってしまいそう。
作風が典型的なポルノ映画のようで(というか素人目にはそんな雰囲気)、BGMにもカントリーが多く使用されており異色さが目立つ。それでいて、リアリティに富んだスプラッタ描写が印象強く描かれている。この辺のギャップこそ、この作品が持つ絶対的なパワーだと思う。彼女達を無造作にトランクに積める場面も、陵辱し強姦する場面も、沼に居る彼女を銃で撃ち抜く場面も、全てがリアルに描かれる。緊迫した場面の後、軽快なリズムに乗ってカントリーが流れると、一気に不快感が湧き起こっていく(それはホラーを観る上で、一種の快感でもあるが…)。
ラスト20分で「両親による復讐」というシフトチェンジを図ったことも大きい。この作品は気取ったアート作品ではない。あくまでもホラー映画であり、観客をわくわくさせる為に存在している。両親の間でどのような会話が交わされたのか一切描かず、口数少なげに淡々と復讐を繰り広げる終盤は最高に怖い。長い長い伏線が一気に爆発した場面だった。
ここからは余談。IMDbを見ていたら面白いことに気付いた。
犯人の「Krug」は、後に「Freddy KRUEGer」として蘇るということ。
フレッド・J・リンカーンは現在、ポルノ映画監督だということ。
そして、この作品は当初X指定を受けていたということ。シーンを削っても削ってもX指定が覆ることは無く、結局そのシーンは全て撮り直したということ。
てなわけで、久々に傑作と呼べるホラーに出会えました。大満足。
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