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[コメント] スパイダーマン3(2007/米)

なんか子供のころお寺で見た仏教マンガみたいな内容だった。絵に描いたような因果応報話。
ジョー・チップ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







主人公の慢心のために人恋人の心は離れ、さらなる怪物を生み出し、不幸の種が巻かれてゆくという因果応報話そのものはいいのだが、色々と詰め込み過ぎて話の展開に説得力がなくすべては唐突かつ都合よく始まる。

唐突に変な実験装置に迷い込んで突然変異を起こす。唐突にライバルの記憶がなくなってまた唐突に昔の親父が出てきて記憶が復活する。

偶然にも主人公のそばに隕石が墜落して偶然にも主人公の部屋に地球外生物がやってきてとり付いてしまう。しかもその生物は取り付いた人間の慢心を増幅し実体化する能力があった。

さらに主人公がその生物から脱却すると偶然そこ(教会だったか)にいた主人公を恨んでいるライバルカメラマンが居合わせて今度はそいつに取りつく・・・あまりにも話の展開が都合良すぎるだろう。その上描写不測なのでこっちが納得しないまま話は進んでいく。

前2作はまだまだ人間の心理描写を丁寧に描いていたが、今回は話の進行に精一杯で形だけに終わっている。みんなにチヤホヤされても思い上がると皆が迷惑するのでやめましょう、みたいな教訓マンガのような印象しか残らなかった。

そもそも主人公の思い上がりを表現するのに地球外生物の助け(?)が要るというのはおかしい。人間、心を乗っ取られなくてもあの程度までは堕落するだろう。操られていましたすいませんというのはあるまじき責任転嫁である。自力で自らの黒い心を克服してこそヒーローだろう。

そのワルぶりも中途半端で、スパイダーマンの狼藉で評判は地に落ちると思ったら、早々とリタイアしてしまい、変わりに登場したニセスパイダーマンもすぐ偽者だと世間に分かってしまう。主人公の堕落を描くならば一度世間から徹底的に袋叩きにあい、地獄めぐりをしてもらったほうがいいと思うのだが、やはり世間体を考慮したのであろう、ぬるい描写で終わった。

描写の軽い人たちの中でサンドマンだけが世の中の矛盾を一身に背負っているという気がする。「許してくれとは言わない、分かってほしいのだ・・・」というセリフは重く、本来泣ける言葉だが今までが今までなので時すでに遅しという感じだった。

(評価:★2)

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