[コメント] スキャナー・ダークリー(2006/米)
これまでのディック映画は、いわば原作に託けたSF、アクション、ミステリー映画であって、まあそれなりに面白いものもあったが、別に作者の世界観とか苦悩に忠実な訳ではなかった(というか、どうでもいい?)。なので、原作に忠実に映像化するとこうなるのか、という感慨があった。
ウィノナを始め、麻薬体験者(?)をここぞとばかりキャスティングしているので、ジャンキーの頭のいかれ方がリアル。要するにいきなり暴れ回るとか、スゲー奇抜な幻覚が見えるとか、そういうのではなく、外見は普通なのだが、日常的に静かに狂っていく様子がよく出ていた。
このウダウダ感についてこれないと、ストーリーに起伏の無い、かなり退屈な映画となる。
原作ではよく分からなかったが、「スクランブルスーツ」というSF的小道具が、映像で見るとジャンキーから見た世界、というものをよく表していると思う。
ただし、原作の各エピソードはかなり切られていて、中途半端さは否めない。 特に「この自転車は何段変速?騒動」は中毒の深刻さを思い知るシーンだが、映画ではあっさり片付けられている。もっとも、中毒者同士のエンドレスな会話を延々とやられたのでは映画化はますます困難になってしまうのであるが・・・
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