コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ばかもの(2010/日)

相手が年齢で10歳ぐらい上の30前女、こちらが二十歳そこそこのヤング。毎日セックスオンリーの日々で愛など考られないときだった。でも女が突然結婚し、その喪失感が男の人生にも影響を与えていってしまった、、。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







男と女が求め、求められ、いつしか同じロードを歩き同じロードで果てて行く。それは男と女の理想だ。人生には、男と女には一本の絶対強い赤い糸があるのだとよく昔の人は言った。そんなことは書物の中でのことなんだ、とか、みんな思っていないかい?

この映画を見ると、ただ肉欲と若さだけでまっしぐらに過ぎ去っていくものの中にも、本当の男と女の出逢い、人生の真実というものは存在すると言っている。名作「嵐が丘」の二人は女が死んでもまだ愛は続く。男と女が添い遂げられない場合は愛が肉欲を超越して精神的にも大きくなっていくのだろう。文学では常にこういう真実の愛を描いてきた。

僕ら、凡人でも、男と女の間には愛の深さ、形はそれぞれ違ってはいても小説と同様のことは存在する。一人の人生において一本の赤い糸が存在するとするなら、それを探し彷徨うのが人生の旅であり、だからこそそれは現代においても文学、映画の主題にもなるのだろう。この映画はそんなストレートな男と女の10年の愛の彷徨を描いていて、とても強い。その強さの前にはあらゆる人生の営みは傍系となるのみである。

一本、筋の通ったきりりとした秀作です。本年屈指の愛の映画であります。恐らく主演二人の代表作になるであろう作品です。こういうシンプルな映画は大好きです。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)緑雨[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。