[コメント] インビクタス 負けざる者たち(2009/米)
この映画のきらりと光る視点の鋭さは、主人公が不屈の人マンデラであり、彼を、大統領になるまでより、それ以降をきっちりと描いたことに尽きる。我々も大統領になってからのマンデラをそれほど知ってはいない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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以降の人間マンデラは材料が少ないと思っていたが、こういう手があったのだ。
前半はイーストウッドらしき政治情勢の不透明さを描いて秀逸。そして彼はスポーツを政治に利用して行く。その過程の面白さ。さすがである。国民の民意もさることながら、肝心の彼の家族そのものもしっくりいっていないことを映像は少ない場面で表現する。
さすが一流の政治家も27年も刑務所暮らしをしていては家族でさえ不和になってくる現実の恐ろしさ。イーストウッド、好調だ。そして映像は跳躍力のある分かりやすいスポーツ映画へと変身する。
映像は大統領の執務場面はあっても、心はさにあらずワールドカップだ。一方主将マット・デイモンは初めて国を想う青年に成長し、試合で劣勢を見事覆し優勝に驀進していく。
映画的には後半は実際見ている間、とても楽しんだし、感動もしたが、見終わったらこれがイーストウッドの映画だったかなあと少し訝る気持ちも出てくる。まあ、ずっと作れば力作は当たり前のイーストウッド、たまにはこういう明快な映画もいいけど。
この映画はイーストウッドのことだから、ある意味現在のアメリカを多少比喩しているのかもしれません。それぐらいの複眼思考はあるだろう。いよいよ次作が楽しみになってくる。
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