[コメント] 冬の光(1963/スウェーデン)
神の沈黙について、あまりに人間的に悩む。ので、ベルイマンのキリスト教に対する思いは、とても人間臭くて受け入れやすい。
キリストの死の間際の「神よ、何故我を見捨て給う」の引用が印象深い。キリストもやはり人間だったというところから、その先の存在を見据えているので、ベルイマンの神のテーマは、キリスト教世界に縛られているようで、ある意味キリスト教から脱却したところにある。ので、私達キリスト教圏外の人間も、それぞれ好きなように置き換えて解釈できる面白さがある。
それにしても、ベルイマン自身が「もし家業をついで聖職者になっていたら」ということで作られた映画らしいが、映画を選んで正解だよ、監督。だって、ある意味聖職者になってたら、映画を通してこんなにくだくだと、多くの人に自分の心を打ち明けることなんて、できなかったろうからね。
光をとても美しく取り込んだ映像は絶品。個人的には『処女の泉』『第七の封印』と並んで、ベルイマンの映画中最高の映像美だと思う。
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